今朝、函館のホテルで露天風呂に浸かっていると、「おはようございます」と声をかけられた。少し驚いたが、挨拶を返し、少し間をおいて「どこから来たんですか?」と尋ねてみた。相手は何かをもごもご言って、答えは聞き取れなかった。そこで、片言の英語を使い「Where are you from?」と再度質問。すると、「台湾」との返答があった。
それから、頭の中で必死に中学英語の知識を掘り起こしながら会話を試みた。結局わかったのは、彼の家族が5人で、昨日函館山の夜景を楽しんだことくらいだった。それに加えて、相手の手が小さく指が短いいことにも気づいたが、それ以上の情報は得られなかった。最後に「Have a nice day」と挨拶をして、私は先に風呂から出た。
実は、こうした旅先での交流は、昔から意図的に行っている習慣である。特に露天風呂などでは、隣にいる赤の他人に声をかけることは心掛けてやってきた。それは単なる社交的な行動ではなく、私の営業スキルを磨くための一環としてでである。ビジネスの現場では、いかにして自然に会話を始め、相手の心を開かせるかが重要である。人はどういうタイミングで声をかけられると抵抗なく会話に応じるのか。これを理解するために、様々な状況で意識的に人と会話を交わし試してきたのだ。
雑談力というものは、営業において非常に重要なスキルである。相手との会話を繋げる力があれば、商談も自然な流れで進めることができる。初対面の相手にどう話しかけるか、どう話を広げるか、そして相手の興味を引き出すか。これらの技術は、ただ営業の現場で鍛えるだけではなく、日常のちょっとした交流の中でこそ磨かれるものだ。だからこそ、私は意図的にこうした場面を利用して、自分のコミュニケーション能力を高めようとしてきた。
今では、この習慣が大いに役立っている。相手が日本人であれ外国人であれ、どんな場面でも臆せずに会話を始めることができるようになった。ビジネスにおいても、このスキルが成果を上げる場面は多い。何気ない会話の中から信頼関係が生まれ、そこからビジネスチャンスが広がることも少なくない。
このように、日常の小さな経験からでも学べることは多い。「日々此学び」とはまさにこのことかも知れない。どんな出会いや会話でも、自分を成長させるチャンスに変えることができる。たとえそれが函館の露天風呂での一瞬の出来事であっても、ビジネスに通じる学びがそこには必ずある。そう勝手に思う還暦過ぎのジジイだ。
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